説明
Wool & Silk Light Tweed Jacket
この生地との出会いは衝撃的だった。ローマのノメンターナ地区にある、誰も行かないような生地店にうっかり立ち寄ったときのことだ。数々の生地が積まれた棚の中から、まるで吸い込まれるようにこの一着を手に取った。
まるでスコティッシュ・ツイードのように表情豊かなネップ感でありながら、しっとりとしたラグジュアリーな手触りと軽さ。見たことのないような質感である。
そしてこの地中海のさざなみのように美しいネイビーと、ヘリンボーンの風合いだ。まるで太陽の光を反射する海面のように心を惹きつけて離さない。
例えばここに黒かグレーの美しいシェル……マザーオブパールのボタンをつけてみたらどうだろう。真夏の夜にアマルフィ海岸で彼女と過ごした思い出と同じくらいに、一生忘れられない一着になるだろう。
(なお小説の受け売りで私の思い出ではない。なぜならナポリの女性と付き合うのは、マエストロ・サルトになるのと同じ位に難しいのだから)