説明
“Victory Again”
ビンテージを巡る熱狂の中で採掘され尽くしてしまった、Holland & SherryのVictoryという生地がある。非常に評価の高い生地で、当店でも随分多くを扱ったが、これに関しては完全に「売り切れ」てしまった。
だからこそこの生地を見つけた時の私の喜びは、文字に起こすことができないほどだった。
これはSuper 160’s ウールとカシミアを低速織機でゆっくりと時間をかけて織り上げた生地で、わずかに起毛感のあるウーステッド…….そう、まさにSupreme Victoryそのもののクオリティなのである。(もしかしたら光沢感はそれを上回るかもしれない)
この生地を織ったWOODHOUSEとHolland & Sherryのつながりは不明だが、Victoryを手にしたことのある人ならばこの生地が「Victoryと全く無関係」であると言われてもきっと納得いかないだろう。それほどまでに酷似している。
秘めたる意志のようにわずかに感じる力強いウーステッドの質感、それを包み込む滑らかなカシミアの手触り。そして一見して特殊な生地であることがわかる光沢感。
この美しい生地感に、うっすらと浮かび上がるグレンチェックの雰囲気がたまらない。うっすらとアクセントのペーンが入っているが、それもまたヴィンテージ感があって美しい。
この生地で仕立てるスーツがどれほど美しいか、くどくど説明する必要はないだろう。ダイアモンドがどのように輝くかを文章で説明するようなものである。
しかし一つ付け加えておくなら、この至宝の生地には最高峰の手仕事が必要だ。マエストロ・ジャンニ・ピッチリーロが仕立てるスーツのような。