説明
《SETA FANTASIA》
シルクという素材は、個人的には最も魅惑的な世界だ。ウールに比べれば決して万能な素材ではないが、しかし混紡されることによって生地の表情を全くの別物に変えてしまう。
SETA FANTASIA、幻想的なシルク生地。そしてこれは数あるシルク混生地の中でも、最も新鮮な感動をもたらしてくれる1着だ。
それもそのはず、30年以上も前に作られたタリア・ディ・デルフィノのウールシルクである。(この時代のウールシルクは、実に珍しい)
まずはこの硬質な光沢…..というより煌めきを見逃すことは不可能だ。シルクは数ある素材の中で最も華やかで、貴金属ジュエリーのような光沢を持っている。この生地もグレーというよりはシルバーという印象だ。それにシルク特有のゆらぎのある質感….(これで伝わるだろうか。あのリネンとも異なる独特のネップ感だ)もたまらない。
だがそれ以上にこの生地はモチーフが面白い。シンプルなグレンチェックに色気あるアクセントのペーン。シルバーのベース色に相まって、なんとも艶やかな雰囲気だ。
見る人が見ればビンテージであることはすぐにわかるが、かといって古臭さもない。色柄だけ見ればドーメルの最新ジャケット生地のような雰囲気もあるが、質感は明らかに今では手に入らないビンテージシルク混である。
実はこれ、当時としてはスーツ生地として販売されたものだ。ということで当店にも3mの用尺があるのだが、ジャケットでの仕立てが妥当だろう。